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私は温泉が大好きです。
年間200日余り温泉地を訪れる日々を40年間続けている。これだけ長い期間温泉地を訪ねられたのも、湯船に身を沈め美しい日本の四季を味わいながら、ただボケーっと眺めている空白の時間が非日常的な空間をつくってくれる。そして体の芯まで温めてくれる温泉力があればこそ。ともかく理屈はどうであれ、温泉はなごみを与えてくれる魅力がある。
しかし、日本が高度成長時代に入り始めた頃から、温泉宿はピカピカの高層建築や豪華絢爛の宿へと変貌していった。その為、本来100パーセントの温泉風呂が当たり前だったものが、温泉に水を加えた水割り温泉や、湯船のお湯を循環させている使い回し温泉が横行するようになってきてしまった。そのため、本来体を癒すべき温泉が今日では病原菌の温床になってきてしまっている。
なかでも一番恐ろしいのがレジオネラ菌である。この菌は肺炎を引き落とし、死に至らしめる怖い菌なのである。
レジオネラ菌は現在確認されているものが41種類もあり、それらは地球上の土や比較的水温が高く、他の微生物が多数共存しているような環境で生きている。そして最も活発に繁殖するのが37度前後といわれている。ということは我々が利用する温泉風呂はレジオネラ菌にとっては天国の生活環境なのである。
厚生労働省の指針によれば、10CFU/100ml(CFUとは菌の塊ひとつの単位)以下と定めているのだが、 ある有名温泉地の旅館組合が昨年温泉の水質検査を行ったところ、36宿のうちなんと30軒の宿から、最高33万2000CFUの数値を記録した結果が報告されている。またある水質検査会社が全国38カ所の温泉施設を検査した結果、27カ所の温泉施設から、厚生労働省の指針を超えるレジオネラ菌が見つかった。
このふたつの報告からもわかる通り、今や100パーセントの源泉風呂で掛け流しでない風呂は危険このうえないのである。
またレジオネラ菌が引き起こす肺炎をすべての医者が知っているわけではないので、レントゲン撮影で通常の肺炎と診断さてしまう。一般的には肺炎の治療法はペニシリンの投与だが、レジオネラ肺炎の場合はペニシリンが効かない。ましてレジオネラ肺炎になってしまうとほとんどの場合、一週間ほどで呼吸不全で命をおとしてしまうといわれている。
それだけに最初の医師の診断が命を左右するといっても過言ではない。
では我々温泉施設の利用者は何に注意したらいいかといったら、まずは何度も触れたように100パーセント源泉風呂で掛け流しをしている温泉施設を選ぶこと。といってもなかなかみきわめが出来る人は少ない。そこで温泉風呂の管理者に源泉風呂か循環をしているかを確認するようにすること。
そしてもし循環している施設ならば、70度以上に加熱しているかを確かめること。湯面から顔を40センチ以上離すこと。湯口や打たせ湯などお湯が飛び散る近くにいかないこと。そして何よりもお湯から上がったらうがいをすることが重要だ。
最近の温泉事情を報告しましたが、温泉は体と心を癒してくれる素晴らしいもの。我々は入浴法に気をつけながらこれからも大いに温泉を楽しもうじゃありませんか。またひとつの目安として我々、日本温泉遺産を守る会では、全国の安心して入れる源泉風呂の一覧表を当ホームページで更新し、開示しています。
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